積層エンクロージャスピーカの製作

カーオーディオ用スピーカユニットで積層エンクロージャ型スピーカの製作 

またまた新しい構想のスピーカを作ってみたくなってどんなモノにしようかと悩んでいたのですがまずはユニットを先に買ってしまいました。


pioneerのカスタムフィットスピーカ17cmのセットです。
新品では3万円弱ぐらいの製品ですが、新品は高くて手が届きませんので型遅れの中古をヤフオクで入手できました。 ユニットが手元に届くと、とりあえずどんな音が出るのか聴いてみたくなり、荒ゴミ扱いで貰ってきたスピーカシステムのBOXに取り付けてみました。


このユニットにしてはゆったりサイズの箱で、のびのびと奏でてくれました。
これまでの作よりもレンジも広く、パワーも入ります。このままでも十分楽しめるなとも思いましたが、これでは作った事になりません。 でも基本的にいいスピーカだと言うことが判ったのでエンクロージャの製作にも気合が入りました。 さあてどんな入れ物をつくろうかと考えているとき、SNSの友人のデザインを見てびび!っときました。 それを参考に設計図面を作ってみました。


BOXの左右が平らな板では無く、曲面になっており、曲面はバナナ型に切り出した板を積み重ねて接着するという非常に手間がかかるものです。はたしてうまく作ることができるのか不安ではありましたが、そこは素人考えでなんとかなるか・・・ 失敗しても笑って済ます事もできる訳で、基本的な方針はこれで行く事にしました。  木材を購入します。 曲面切りをして積層接着して削る事が必要ですので、やわらかい材料の方が楽ですし、きれいな木目がでるかもと思って集成材にしました。

主な材料 パイン集成材 910*18*450 1,380円 2枚 450*18*200 \317円 2枚

上の図のような板取で行く事にしました。 かなりの量の曲線切りが必要です。ジクソーで切ることもできますが、トリマーで曲線切りしてみようと思い、挑戦して見ました

ガイドになるベニア版を固定してそれに沿ってトリマーを運べば、同じ形の部材が切り出せるという寸法なのですが、3回ほど切ってへこたれました。 安物のトリマーで、ビットも安物だからなのか、力はかなり必要ですし、ビットがズレてきたり、焦げて煙が出るしまつです。 しかたなく、ジクソー切りに切り替えてみると曲線切りは神経を使ってブレも出ますが、切り進む事は非常に楽です。 注意点は集成材は場所により硬さが変わるので、歯を進める力の調整が難しいくらいです。

切り出した部材を実物大に印刷した図面の上に置いてみました。 まずまずの出来です。あとはひたすら切り続けます。


次は最も重要な工程である積層接着になります。 爪楊枝をだぼにしてボンドを挟み、圧着します


上下の端は天板と底板を留めるためのT型ナットを埋め込んでから接着し、天板、底板をネジで固定するとこんな形に・・・ 精度が悪く、いびつですがそれらしい形になってきました。


背中はポプラ集成材(25*60)の棒に合わせてジクソーで切り、埋め込み、接着します。
下の写真は内側です。


積層部分をたたいて見ると響くので鳴き止めになるかどうかは怪しいですが、建材の鉄板をシリコーンシーラントで接着しました。 もう少し肉厚な設計にしたほうがよさそうです。 バッフル版を加工して収まりを見てみます。 トリマーのおかげで面取りができました。


接着材が十分乾くのを待って、屋外で積層面の削りをしてみました。 グラインダーに80番のジスクホイールを付けて削ります。 想像していたより、かなり容易に削れますので削り過ぎに注意しないといけないぐらいですが、元の部材の精度と接着精度が悪いので、へこみが残ってしまいましたが、ほどほどに収めました。年輪が綺麗に浮かび上がってきました。


バッフル版の補強をして接着します。


バッフル版の端を側面の曲線がなじむように削り、さらに全体の調整削りを行ってニス塗りに向かいます。綺麗な模様がでてきましたので無色のつや有り水性クリアニス仕上げにしました。


天板にツイーター取り付け用のサブバッフルとクロスオーバーを取り付けてユニットを接続、取り付けをしたら、ようやく見かけは完成です。 これから吸音材の調整や、バスレフ式にする底板を作って育てて行こうと思います。

周波数特性の測定をしてみました。赤線がためしに付けてみた大きなバスレフBOXの特性です。 密閉型はやはり、低域のレベルが低いので、今後バスレフ式底板の調整で赤線に近いレベルに持っていければいいなと思っています。 

測定環境 

  和室10畳、
  高さ1m 
  マイクまでの距離50cm 
  マイクEMC-8000 
  ソフト MySpeaker Ver1.22

民宿 陽喜

TQWTスピーカの製作